グラフィックデザイナー 瀬戸山雅彦氏 インタビュー
Photography & Text:aso project team
レイヤーポーチがasoからリリースされて数ヶ月。
タイミングが良いのか悪いのか、
私たちのワークスタイルは変化を余儀なくされています。
そんな中、緑豊かな東京郊外にアトリエを持ち
様々なグラフィックを手掛ける
デザイナーの瀬戸山雅彦氏に、仕事と道具、
そして、自身が愛用するレイヤーシリーズのリアルな姿を
2回に渡りお届けします。
<前編はこちらから>
ー次にレイヤースリーブについて少しお話をお伺いします。使ってみてどうでしたか?
僕はまず、レイヤーポーチのミニを使っていたのでMacbookをリュックに入れて持ち運んでいましたが、スリーブまで出てきたら「いよいよリュックがいらなくなってどうしよう!?」っていう感じです(笑)。
ーレイヤーポーチのリリース後、使ってる方を拝見するとポーチ単体で外に持ち運んでらっしゃる方が結構多くて、「これはもうクラッチバッグだな」と。スリーブケースというのは通常カバンの中にしまうインナーケースを指すので、バッグとしての存在感というのはあまり意識して作られていません。でも、このレイヤーシリーズはバッグとしての姿が様になるよう製作をしているんです。
バッグとしては、シンプルな部類ですよね。デザインでもそうですが、シンプルにすると埋もれてしまうのではという意識に駆られがちです。個性がないかも…と不安になるので、装飾したくなってしまう。機能性を前面に押し出してポケットをつけたり、丈夫そうにしたり、奇をてらって封筒風にしてみたり。でも、これはそれがない。かといって没個性じゃない。だから僕は第一印象で「これだけで持っていけそう。」って。
丁度クラッチバッグを持っていなかったのでスーツとかジャケットとか羽織った時にさすがにリュックだと、新人営業マンみたいになってしまうのでこういうの持ったら様になるだろうなって感じました。
ーそれはいいですね。
リュックの時に困っていたのは、服装が限定される所でした。本当はこれで行きたくないんだけどしょうがないなって。
ー確かに。リュックは服装が限定されますもんね。
パソコンも収納できるとこれだけで完結します。もう最近は財布も持ち歩かないので。そういう意味で今までと大きく違うのは、「堂々と見せれる」という所だなぁって使っていて実感をしています。ラップトップになってからは最近までこのリュックで15インチを持ち歩いてましたけど、頭がひょこって出ちゃうんですよ。その時は間に合わせで安いインナーケースに入れて使っていました。でもやっぱりなんか気持ちが悪くて、新しくリュックを購入しました。もしこの時にレイヤースリーブに出会っていたらこんな風に入れて使っていたかもしれません。
−見せれるって、気づいていそうでなかなか鋭い視点ですね。
インナーケースに1万円は高いなって思うけれど、見せれるバッグに1万幾らだとそんなに高くなく感じますよね。ジャンルの線の引き方で捉え方というのは随分変わるもの。面白いですよね。
ずっとブランディングで携わっているパジャマブランドさんの商品も、既にルームウエアとパジャマの境目はないんですよね。多様性と昨今よく聞きますけど、シンプルでどんな風にも使える事が、逆に全ての多様性を包み込んでしまうような気もしています。
ー昨今はリモートワークが大きな流れになっていますが、ご自身にとってお仕事のスタイルなどで変わった事はありますか?
僕の仕事柄、元々リモートみたいなスタイルで何も変わっていないんですけど、こういう世の中になって「一体何が自分の仕事に必要なのか?」を改めて整理整頓しました。デスクの上って良く見ると余分だらけで。使っていなかったり。引き出しの中も。そういった物を1回全部出して、整理して、削ぎ落としていって、むしろ足らない位でしばらく過ごしてみました。そうしたら、自分にとっての最小のスペースが見つかったんです。やってみて本当に必要な物は増やしたらいいと思うんですけど、とにかく足らないんじゃないか位、物を削ぎ落としてみましたね。
ーあれもこれも必要だと思いがちだけど、実はいらないかもしれないと。
そうなんです。その状態の方が「自分の基準点が整っている」感じがして、増やすにしても前より正しい判断ができます。逆に物に囲まれすぎているとその判断が鈍るんです。だから「減らしてから、増やせばいい。」って思い切って。頭で考えている事って無意識に仕事のアウトプットに出てきますから、スッキリとしていることは意外に重要だと思うんですね。
ー最後に、今回レイヤースリーブ/レイヤーポーチを検討していらっしゃる方にユーザーとしてメッセージがあればお願いします。
これを持つと、本当に必要な物の取捨選択が自然とできるようになります。持ち運ぶべき物と、まぁいらないよねという物がハッキリする。リュックとかだと、ついつい色々入れて沢山持って運びたくなってしまうんですけど、これはそういう訳にはいかない。大袈裟だと思われるかもしれませんが、これを手にしてから自分の「打ち合わせスタイルというのがひとつ完成したな。」とい思いますね。例えるなら、「小さな仕事部屋をどこにでも持ち運べる」という美学が気に入っています。
瀬戸山雅彦 / グラフィックデザイナー
1981 年長崎生まれの大阪育ち。東京都在住。三木健デザイン事務所で約
10 年間勤務後、2014 年上京と同時にフリーランスへ。
また、イベントなどに「うみひこやまひこCOFFEE」という屋号で珈琲淹れとしても活動。
Web: https://www.instagram.com/setoyama_masahiko/