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デジタルに
置きかえられないもの1

グラフィックデザイナー 瀬戸山雅彦氏 インタビュー
Photography & Text:aso project team





レイヤーポーチがasoからリリースされて数ヶ月。
タイミングが良いのか悪いのか、
私たちのワークスタイルは変化を余儀なくされています。
そんな中、緑豊かな東京郊外にアトリエを持ち
様々なグラフィックを手掛ける
デザイナーの瀬戸山雅彦氏に、仕事と道具、
そして、自身が愛用するレイヤーシリーズのリアルな姿を
2回に渡りお届けします。





自宅という基地

ーまずは自己紹介をお願いします。

グラフィックデザイナーの瀬戸山雅彦です。
いわゆるグラフィック表現からパッケージデザインなどをメインにやらせていただいています。最近ですと、美術館の広報物や飲食店グラフィック、書籍のデザイン等を手掛けています。

ーこちらはご自宅兼アトリエでしょうか?

そうですね。勤めていたデザイン事務所から独立後、ずっとこのスタイルでやっています。結局回り回って自宅が一番落ち着いて作業ができるので。いつもお気に入りの豆でコーヒーを淹れて「よし、やるぞ。」って。


ー頂いているこのコーヒー本当に美味しいです。
アトリエでは、主にどんな感じでお仕事をされているんですか?

結構大判の作品等もあるので、動き回っている事もありますが、基本はパソコンに向き合っている時間が多いです。

ー結構色々なパソコンをお使いになってきたんじゃないでしょうか。ちなみにどんなパソコン遍歴か教えて頂けますか?

最初に購入したのは、一体型のMacでした。そこからiMacを数台使い続けて数年前にMacBook Pro15インチに買い替えました。そこからラップトップ派になり、今はM1チップ搭載のMacBook Proの13インチを使っています。あと、iPad miniも使っていますよ。

専ら、画面サイズが大きいデスクトップ派だったんですけど、15インチのMacBook Proが自分的にかなりしっくりきてしまい、ラップトップの使いやすさに目覚めたという感じですかね。今となってはケーブル1本で外部ディスプレイに繋げられるので、そうして使っていますが、昔だと何本もケーブルを刺さないといけなかったので、自然に15インチを色々な所に持ち運んで使っていました。

ー持ち運びはどのようにされていたんですか?

15インチはかなり重かったので、それ専用に軽いリュックを探して買いました。パソコン用収納スペースがあって軽いリュックというと、結構大袈裟なごついのしか当時はなくて。ただ、いかにもパソコンバッグですみたいな物は選びたくなかったんです。数年前から結構デジタル上で手描きの作業をすることが多くなり、iPad miniを導入しました。仕事道具を全部リュックに入れて運んでいました。パソコン類の他にマウスとかヘッドホン、見本帳とかも入れていたので、かなり重くなってしまって。打ち合わせに行って帰ってくると肩が悲鳴をあげていました。これは何とかならないかなぁと思っていたんですよね。

身軽が集まっていく

ー元々レイヤーポーチのような物を探されていたんですか?

iPadはこれで2台目なんですが、Apple Pencilが使えるようになったのがかなり影響ありますね。気づいたら打ち合わせではラップトップを開かなくなっていて。大きな15インチを机の上でガサガサするより、タブレットの画面を片手でさっと見せる方がスムーズだし楽なんですよね。これは、ラップトップ持って出掛けなくてもいいんじゃない?と思い始めて、軽いクラッチバッグのような物を探していた時にこのポーチに出会ったんです。



一目で「これや。」と思いました。まず気に入ったのはケーブルとかアダプタのような小物がパラパラあるのを定位置にしまっておけること。 Apple Pencilのアダプターなんて何回なくしたことか。専用ポケットがあるって知ったときは思わず笑ってしまいました。これは相当好きな人が作ってるんだろうなぁと。
そして決め手は、「表にロゴがないこと」でしたね。Apple系の製品ってサードパーティーなら目立つところにボン!とそのメーカーのロゴがついてるじゃないですか。反面、これにはどこを見てもロゴがないんで、相当製品に自信あるんだろうなって感じました。ロゴを作る仕事をしているので余計にそう思うのかもしれませんが、服と合わせるのにもロゴはない方がいいですし。機能と作用がシンプルな見た目に同居できているのは、道具としてのニーズとして成立してるなと思います。

ー実際には、どんな風に使っていますか?

最初はリュックに入れて使っていたんですけど、最近ではもうパソコンを持ち運ばなくなりました。ポーチひとつで超身軽です(笑)。いつも入れているのは、iPad miniとApple Pencilとアダプタ、名刺とヘッドホンのケーブル、現場の時はメジャーなんかも入れてますね。ヘッドホンは首にかけています。仕事帰りにレコード屋に行くのが趣味なんですが、その時のためにケーブルだけをポーチに入れておいて試聴機に差して使っています。

−そこはアナログなんですね。

そうなんですよ。最近は無線が多いんですけどレコードはやっぱり有線でしょうと。そういえばこの間打ち合わせ中に、iPadと名刺とかを出して…とやっていたら「瀬戸山さん、めっちゃ使いこなしてますね。」ってクライアントさんが。その方もiPadを使っているそうなんですがイマイチ使いこなせていなかったそうで、僕がポーチからささっと色々出すから、ショーみたいに見えたって言われてしまいまして。適材適所に収納されすぎてて全部がキットのように見えたらしいです。身軽すぎるからそれもあるんでしょうけどね(笑)。



アナログデジタルの整理整頓

ー何かずっと使ってらっしゃる道具や物はありますか?

昔は、手描きもスキャナやカメラで取り込んで、そこから大きいモニタとにらめっこしながら余分な所を除いて…みたいな作業をしていましたが、今はそれが全部タブレットに集約をしてきているので、仕事道具と言われる物はどんどん減ってきてしまったんですが、そんな中でもまだ現役なのはこのメジャーですかね。

これは13年位使っているフランスのメジャーで、こうやって本体込みの数値が上に出るんですね。美術館とかの現場で壁までの距離とかを測るときに重宝してます。フランス製なんでセンチ表記な所がまた良くて。

ーセンチ表記っていいですね。アナログな物って出会った時にスルーしてしまうと二度と出会えないですよね。

そうですよね。これもいつまた買えるかわかんない。そうやって見てみると最近アナログデジタルの入り乱れが激しくなりましたね(笑)。音楽はレコードで集めてるんですが、雑誌は電子で買うようになりました。雑誌って見たいと思ったときに見れる物ではなかったのですけど利便性が勝ってしまった。逆に音楽はレコードでしか聴けない音像の鮮明さに取り憑かれてしまって。

ー改めて、瀬戸山さんにとって道具と仕事の関係性とは?

今仕事に関して言えば、簡略化をしつつクオリティを上げる道具としてiPadが活躍してくれています。一方で、これだと思ったアナログなモノはデジタルには置きかえられません。そういう意味では、バッグも置き換える事のできない整理整頓の道具ですよね。当たり前ですけれど、大きければ沢山入るし、小さければ少ししか入らない。重い荷物を背負っていた僕にとっては、レイヤーポーチだけで出かける事で、よりその棲み分けがハッキリしたかもしれません。厳選された武器をどこにでも身軽に持ち運べる・整理整頓ができていると、精神的な土台がしっかりするんですよね。ただ、ポテンシャルを維持するには欲張りすぎてもダメで。そんな今の僕には、このスタイルがベストだと思っています。

>その2へつづく(7/30 公開予定)


瀬戸山雅彦 / グラフィックデザイナー


1981 年長崎生まれの大阪育ち。東京都在住。三木健デザイン事務所で約 10 年間勤務後、2014 年上京と同時にフリーランスへ。 また、イベントなどに「うみひこやまひこCOFFEE」という屋号で珈琲淹れとしても活動。

Web: https://www.instagram.com/setoyama_masahiko/

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